2023.06.20
口の中には350〜700種の細菌がいると言われています。細菌の分布は、歯面上に約10億個/mg、咽頭粘膜に約1億個/mg、歯周ポケットに約1億個/mgが生息しています。舌苔は、新陳代謝で剥がれた粘膜上皮の細胞、血球成分、食物残渣、細菌の死骸などからできており、舌苔は嫌気性細菌によって分解されると口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物を発生します。
高齢者や自分自身でブラッシングを行えない人、特に薬物の副作用などにより唾液量が低下した人は、舌の細菌が増殖して誤嚥性肺炎などの危険性が高まることから、舌ブラシでの清掃は有効です。
健常者でも、歯周病や全身疾患などによる口臭ではない生理的口臭のばあいでは、プラークコントロールよりも舌清掃を行うほうが口臭抑制に有効な場合があります。
舌はとてもデリケートなため、舌ブラシを使用するときは軽い力で数回だけかき取るように使用します。舌苔がたくさん付着している場合でも、一度の清掃ですべてを取ろうとせず、日数をかけて少しずつ取り除くようにしましょう。
福岡市 早良区 小田部 院長 稲葉 健一郎