いなば歯科クリニック

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口腔機能低下症ってどんな病気?

2026.04.04

口腔機能低下症ってどんな病気?

口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)とは、加齢や疾患、生活習慣などの影響によって、口の働き(噛む・飲み込む・話す・唾液を出すなど)が全体的に低下している状態を指します。日本では高齢化の進行に伴い注目されている概念で、放置すると栄養状態の悪化や誤嚥性肺炎、生活の質(QOL)の低下につながるため、早期発見と対応が重要です。

この状態は単なる「歯の問題」ではなく、口腔全体の機能の問題として捉えられます。例えば、噛む力(咀嚼機能)の低下、舌や唇の動きの低下、唾液分泌量の減少、飲み込み(嚥下)機能の低下などが複合的に関係します。その結果、食べ物が噛みにくい、むせやすい、滑舌が悪くなる、口が乾くといった症状が現れます。

検査方法

口腔機能低下症は、複数の項目を評価することで診断されます。主に以下のような検査が行われます。

1. 口腔衛生状態の評価

 歯垢や舌苔の付着状況を確認し、口の中の清潔度を評価します。

2. 口腔乾燥(ドライマウス)の検査

 専用の機器や試験紙で唾液の量を測定し、乾燥の程度を確認します。

3. 咬合力(噛む力)の測定

 専用のセンサーや咬合紙を使い、どの程度の力で噛めるかを測ります。

4. 舌・口唇運動機能(オーラルディアドコキネシス)

 「パ・タ・カ」などの音を一定時間でどれだけ速く発音できるかを測定し、舌や唇の動きを評価します。

5. 舌圧検査

 舌で器具を押す力を測り、飲み込みや食塊形成に関わる機能を確認します。

6. 咀嚼機能検査

 ガムやグミなどを噛んでもらい、どの程度細かくできるかを評価します。

7. 嚥下機能の評価

 水を飲んでもらうテストなどで、むせや飲み込みの状態を確認します。

これらのうち複数項目で基準を下回ると、口腔機能低下症と診断されます。

改善策・予防方法

口腔機能低下症は、適切な対策によって改善・進行抑制が可能です。

1. 口腔ケアの徹底

歯磨きや舌清掃を丁寧に行い、口の中を清潔に保つことが基本です。定期的な歯科受診も重要です。

2. 口腔機能トレーニング

舌や唇、頬の筋肉を鍛える体操が有効です。例えば、

・「パ・タ・カ」の発音練習

・舌を上下左右に動かす運動

・頬を膨らませるトレーニング

などがあります。

3. よく噛んで食べる習慣

柔らかいものばかりでなく、適度に噛み応えのある食品を取り入れることで、咀嚼機能の維持につながります。

4. 唾液分泌の促進

ガムを噛む、水分をこまめに摂る、唾液腺マッサージを行うことで口の乾燥を防ぎます。

5. 義歯や歯の治療

入れ歯が合っていない場合や歯が不足している場合は、適切な治療を行うことで機能改善が期待できます。

6. 栄養管理

バランスの良い食事を摂ることで、筋力や全身状態を維持し、口腔機能の低下を防ぎます。

まとめ

口腔機能低下症は、加齢とともに誰にでも起こりうる身近な問題ですが、早期に気づいて対策を取ることで改善が可能です。特に「食べにくい」「むせる」「口が乾く」「話しにくい」といった変化は重要なサインです。歯科医院での定期的なチェックと日常的なトレーニングを組み合わせることで、健康寿命の延伸や生活の質の向上につながります。口の機能は全身の健康と密接に関係しているため、軽視せず総合的にケアしていくことが大切です。

検査は主に50歳以上の方を対象として行われることが多いですが、症状があれば年齢に関係なく評価することが可能です。

当院でも口腔機能低下症の検査を実施しており、患者様一人ひとりの状態に応じた評価を行っています。また、検査結果に基づいて、口腔機能の改善や維持を目的とした指導・トレーニングも積極的に行っています。具体的には、舌や口唇の体操、発音練習(パ・タ・カ体操)、咀嚼力を高めるための生活指導、唾液分泌を促す方法などを提案し、日常生活の中で無理なく取り組めるようサポートしています。